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こんな経験をしたミドル世代の方は少なくないと思います。
決意して踏み出した一歩なのに、想定外の好条件を出されると心が揺れるのは自然なことです。
ただ、カウンターオファーは多くの場合、慎重に判断したほうがよいです。なぜなら、受け入れて残留した人の多くが、結局は短期間のうちに転職しているという調査結果があるからです。
ただし、すべてのケースで断るべきだとも言い切れません。
だからこそ、その場の感情だけで結論を出してしまうのはもったいない。
この記事では、カウンターオファーを受け入れるリスクと、残留後によくあるパターン、そして判断基準を具体的に整理します。
転職先の内定を承諾するかどうかで迷っている方は、内定承諾で迷う時の判断基準もあわせて読むと、判断の軸がより明確になると思います。

突然の好条件提示があると心が揺れるのは当然です。
カウンターオファーとは?会社が引き止めに動く理由
転職を検討する人が増えるほど、企業も人材流出を防ごうと積極的になっています。まずは仕組みと会社側の狙いを整理します。
提示されやすい条件(昇給・昇進・異動)の傾向
実際に退職の意向を伝えた際に提示される条件として最も多いのが昇給です。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン「給与調査2024」という調査では、カウンターオファーに応じる可能性がある人のうち81%が「昇給なら応じる」と回答したという結果が出ています。次いで、昇進やポジションの変更、部署異動なども提示されやすい条件です。
金額や役職が具体的に示されるケース
- 「月給を3万円上げる」
- 「主任から係長に昇格させる」
時期も内容も曖昧な提示にとどまるケース
- 「来期の評価で考慮する」
- 「近いうちに異動の話を進める」
これらの条件は魅力的に聞こえがちですが、その場しのぎで提示されるケースも少なくありません。そのため、具体性がどこまであるかを見極める視点が欠かせません。
会社側の本音|なぜ今になって好条件を出すのか
会社が今になって好条件を出す背景には、採用コストや業務の引き継ぎ負担があります。
中途採用で同じレベルの人材を確保するには、採用活動だけで数ヶ月、教育を含めると短くとも半年以上かかることも珍しくありません。
エン・ジャパン「人事のミカタ」調査では、カウンターオファーを実施したことがある企業は65%にのぼるという結果が出ています。
会社にとって引き止めは「本人を心から評価しているから」というより「今、辞められると困るから」という本音が隠されているケースもあります。

もちろん本当に評価されている場合もあるため、一括りにはできませんが、この視点を持っておくと条件を冷静に見極めやすくなります。
特にプロジェクトの繁忙期や、後任の目処が立っていないタイミングで退職を伝えると、会社側の焦りはより強くなります。
これらを見分ける手がかりにもなります。
カウンターオファーを受け入れる3つのリスク
好条件を提示されると心が動くのは当然です。
ただし、受け入れる前に知っておきたいリスクが3つあります。
順番に見ていきましょう。
一度示した転職意思は消えない(信頼・評価への影響)
一度「辞めます」と伝えた事実は、その後も記憶に残り続けます。
会社によっては「辞めようとした人」というレッテルが貼られることもあります。
重要な案件から外されたり、昇進やボーナスの査定に影響したりと、本人は「残ると決めたのに…」と感じていても、会社側は「いつまた辞めるか分からない人」として距離を置いてしまうわけです。
退職の意思を伝えてしまったことで、評価する側の見方が変わってしまうことは十分にあり得ます。

一度損なわれた信頼関係は、そう簡単には元に戻りません。
昇給・昇進が一時的な引き止め策で終わるケース
カウンターオファーで示された好条件が、翌年の昇給や次の異動でうやむやにされてしまうことがあります。
専門家の解説では、報酬による動機づけは短期的な効果にとどまりやすいと指摘しています。
「その場だけの引き止め」で終わってしまえば、根本的な不満は何も解決していません。
転職活動を止めたことによる機会損失
カウンターオファーを受けて残留を決めると、進んでいた転職活動は白紙に戻ります。
内定を出してくれた企業との関係も、当然そこで終わります。
再び同じタイミング・同じ条件で声をかけてもらえる保証はどこにもありません。
その内定条件、感覚だけで判断していませんか?
内定を出してくれた転職先との関係は、残留を決めた時点で終了します。同じ企業が、同じタイミング・同じ条件で再びオファーしてくれる保証はどこにもありません。
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前職では、引き止めを組織側として何度も経験しました。ただ、根本の不満が解決していなければ結果は同じでした。
残留を選んだ人によくあるその後
実際に残留を選んだ人は、その後どうなっているのでしょうか。
ここでは公表されている調査データをもとに、傾向を整理します。
半年〜1年以内に結局転職するケースが多い理由
ロバート・ウォルターズ・ジャパン「給与調査2024」という調査によると、カウンターオファーを受諾して残留した人について、以下のような結果を示しています。

残留しても、1年以内に約6割が離職している計算になります。
一方で、5年以上勤務を継続できた人は14%にとどまるという結果も示されています。
この調査は国内企業・外資系日本法人170社と、同社に登録する会社員1,423人を対象にしたものです。
日本の労働者全体を無作為に抽出した調査ではないため、数値はあくまで一つの目安として捉える必要があります。それでも、残留後に短期間で離職する人が一定数いるという傾向は、判断材料として参考になるでしょう。
なぜ、これほど早期の離職につながるのでしょうか。
理由として考えられるのは、条件面は改善されても、転職を考えた根本的な原因(人間関係や評価制度、業務内容への不満)が解決されないまま残っていることです。
一時的に気持ちが落ち着いても、時間が経つとまた同じ不満が表面化してきます。

好条件そのものより、それを提示した上司や組織の姿勢が変わらない限り、状況は元に戻りやすいということです。
社内での立場・評価が変化するケース
数字だけでなく、社内での立場が変わったと感じる人もいます。
カオナビ人事用語集の記事では、同僚から見た不公平感が指摘されています。
「辞めると言えば好条件をもらえる」という空気が生まれると、周囲との関係がぎくしゃくすることもあります。
という印象が広がると、以前と同じようにチームがまとまることが難しくなることもあります。

数字には表れにくい変化ですが、日々の働きやすさに直結する部分です。
カウンターオファーを受けるべきか判断する4つの基準
ここまでのリスクを踏まえたうえで、実際にどう判断すればよいのかを整理します。
次の4つの基準に沿って考えると、感情に流されずに判断しやすくなります。
転職理由が「待遇」だけだったか、それ以外もあったか
まず振り返りたいのは、そもそもなぜ転職を考えたのかという点です。
理由が給与だけであれば、昇給によって納得できる可能性はあります。
しかし、待遇以外の理由が含まれている場合は、昇給だけでは解決しないケースが多いです。
昇給だけでは解決しないケース
- 人間関係
- 評価制度
- キャリアの停滞感
提示された条件に具体性・継続性があるか
「頑張れば来年考える」といった曖昧な口約束には注意が必要です。
金額や役職、実施時期が書面や正式な辞令として明示されているかを確認してください。具体性のない約束は、時間が経つとうやむやになりやすい傾向があります。
確認する際は、
- 「いつから」
- 「いくら」
- 「どのポジションで」
この3点を、遠慮せずにはっきり聞くことが大切です。
曖昧な返答しか返ってこない場合、残留しない一つの判断材料になります。

本気で引き止めたいのであれば、会社側も具体的な条件を用意できるはずです。
転職先で得られるキャリア機会と比較する
目の前の昇給額だけでなく、転職先で得られる経験や役割、将来的な年収の伸びしろも比較材料になります。ミドル転職で年収を下げない交渉術も参考にしながら、短期的な条件と中長期的なキャリアの両面で検討することをおすすめします。
「昇給額」と「転職先の将来性」、両方を正しく比較できていますか?
目の前の昇給額は分かりやすい一方、転職先で得られる経験・役職・数年後の年収の伸びしろは、自分ひとりで正確に把握するのが難しいものです。
- 今の会社に残った場合の3〜5年後の年収レンジ
- 転職先で担える役割、裁量の広がり
- 同世代、同業界の市場相場
こうした比較材料は、無料の診断ツールで客観的な数字として確認できます。
家族・ライフプランへの影響を考える
ミドル世代になると、教育費や住宅ローンなど家族の生活設計も判断に大きく関わってきます。
転職による一時的な収入の変動が家計にどう影響するか、家族と一緒に話し合っておくことが大切です。逆に、残留によって得られる安定が、今の家族の状況に合っている場合もあります。

家族構成やライフステージによって優先順位は変わっていくものです。
ただ、判断基準がすべて「転職すべき」という結論に向かうわけではありません。
昇給や昇進と同時に、業務内容や評価制度への不満が解消されるなら、残留も十分にアリな選択です。転職の理由が待遇だけで、キャリアの方向性には迷いがない場合も同じです。
ここまで見てきた4つの視点を、あらためてチェックリストにまとめました。
- 転職理由が待遇だけでなく、人間関係や評価制度への不満も含まれていないか
- 提示された条件は書面や辞令など、具体的な形で示されているか
- 転職先で得られるキャリア機会・経験は、残留では得られないものか
- 家族の生活設計に照らして、どちらの選択がより現実的か
頭では分かっていても、いざ好条件を提示されると迷ってしまうもの。
次の3つの手順で考えを整理すると、感情と条件を切り分けて判断しやすくなります。
- 転職を決意した理由を、待遇面とそれ以外に分けて書き出す
- 提示された条件を、書面や辞令で確認できるかを人事に確認する
- 1週間ほど期間を置き、感情が落ち着いた状態でもう一度両方を比較する
カウンターオファーを断る場合の伝え方と注意点
検討した結果、当初の予定通り転職を選ぶと決めた場合、断り方にも気をつけたいポイントがあります。
ここでは円満に伝えるための考え方を整理します。
円満に断るための伝え方のポイント
断る際は、感謝の言葉を伝えたうえで、転職の意思が変わらないことを明確に伝えることが大切です。
条件面への不満を強調しすぎると、角が立ちやすくなります。
「新しい環境で挑戦したい」といった前向きな理由を軸に伝えると、辞めた後も関係を保ちやすくなります。

会社への不満を並べるより自分の意思を短く言い切るほうが、相手も納得しやすくなります。
引き止めが長引く場合の対処法
一度断っても、上司や人事から重ねて引き止められることがあります。
その場合は、期限を明確に区切って伝えるのが有効です。
「〇月〇日までに退職の手続きを進めたい」と具体的な日付を示す
こうすることで、話を前に進めやすくなります。
他にも、面談を何度も設定されて時間だけが過ぎていくケースもあります。
その場合は「就業規則に沿って手続きを進めたいので、退職願を正式に受理していただけますか」と、書面ベースで話を進める意思をはっきり伝えることが有効です。
口頭でのやり取りを繰り返すのではなく、書面やメールなど記録に残る形にしたほうが話が前進しやすくなります。
転職先への影響を最小限にするタイミング
引き止めが長引くと、転職先の入社日調整にも影響が出かねません。
転職先の担当者には早めに状況を共有し、正直に相談しておくことをおすすめします。
円満退職の具体的な進め方については、ミドル転職の円満退職交渉術で詳しく解説しています。本記事では意思決定までの考え方を中心に扱っているため、実際の交渉プロセスはあわせて参考にしてください。
特にミドル世代の転職では、引き継ぎ期間を十分に確保してほしいと会社側から求められることが多くなります。転職先にも、通常より引き継ぎに時間がかかる可能性がある旨を早めに伝えておくと、双方にとって無理のないスケジュールを組みやすくなります。

面接の段階で「引き継ぎの関係上、◯月以降に入社可能です。」と伝えておくこともポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q. カウンターオファーを受けて後悔しない人もいる?
います。ただし、その多くは待遇面の不満が主な転職理由で、条件の改善によって根本的な不満まで解消されたケースです。
人間関係や評価制度への不満が残ったまま残留すると、後悔につながりやすいでしょう。
後悔しない人の共通点は、条件だけでなく「なぜ辞めたいと思ったのか」を最後まで自分で言語化できていたことです。
曖昧なまま流されるように残留すると、数ヶ月後に同じ迷いが再発しやすくなります。
Q. 昇給提示を断ったら関係が悪化しない?
伝え方次第で、大きな悪化は避けられることが多いです。感謝を伝えたうえで意思をはっきり示せば、円満に進むケースがほとんどです。
ただし、まれに態度が急に変わる上司もいるため、退職手続きは就業規則に沿って淡々と進めることをおすすめします。
万が一、態度が明らかに冷たくなったとしても、それは残り期間だけの話と割り切りましょう。転職先で新しい人間関係を築いていくことを考えれば、過度に気にしすぎる必要はありません。
引き継ぎや挨拶など、最後まで誠実に対応する姿勢を保つことのほうが大切です。
Q. カウンターオファーを受けた後、再度の転職はしにくくなる?
直接的に不利になるわけではありませんが、社内での見られ方が変わる可能性はあります。
エン・ジャパンのプレスリリースでは、
という結果が出ています。
一度残留を選んだ後でも、転職活動を再開すること自体は可能です。
転職エージェントや過去に応募した企業との関係も、一度きりで途切れるとは限りません。
誠実に事情を説明し、時間を置いて改めて相談すれば、再び支援してもらえるケースは十分にあります。
大切なのは、残留を選んだ理由と、再び転職を考えるようになった理由を、自分の中で整理しておくことです。

転職の意思を一度固めたなら、その理由をもう一度紙に書き出してみてください。好条件の魅力に流されそうになった時こそ、最初の気持ちに立ち返ることが大切です。
断ると決めたなら、迷っている時間そのものが機会損失になります。
本文で紹介した通り、カウンターオファーを受諾して残留した人の約6割が1年以内に離職しているという調査結果があります。仮に「今回は残留」と決めた場合でも、転職を考えた根本的な理由が解決していなければ、遅かれ早かれ同じ選択を迫られる可能性が高いということです。
だからこそ、転職を選ぶにしても、残留を選ぶにしても、今の自分の市場価値と選択肢を把握しておくことが判断の助けになります。無料相談だけでも、今の市場での立ち位置を確認できます。
- 今の年収・待遇は市場相場と比べて適正か
- 非公開求人を含め、他にどんな選択肢があるか
- 転職するとしたら、いつ・どう動くのが最適か
まとめ|後悔しないための最終チェックリスト
カウンターオファーは、決して悪いものではありません。ただし、受け入れる前に立ち止まって考えるべきポイントがあります。
最後に、後悔しない判断のための要点を整理します。
- 転職理由を待遇面とそれ以外に分けて整理したか
- 提示された条件に具体性・継続性はあるか
- 転職先で得られるキャリア機会と比較したか
- 家族・ライフプランへの影響を話し合ったか
- 断る場合の伝え方・タイミングを準備できているか
迷った時は、この記事の判断基準に立ち返ってみてください。
感情に流されず、冷静に整理することが、後悔しない選択につながります。
どちらを選んだとしても、納得したうえで決めた選択であれば、その先の働き方にも自信を持って向き合うことが可能です。


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