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今年、転職した。
新しい職場にも少しずつ慣れてきたころに、総務から年末調整の書類が配られる。
そんなふうに手が止まっていませんか?
- 前の会社から、源泉徴収票がまだ届いていない
- 12月入社だけど、今年の年末調整はしてもらえるのか分からない
- 退職してから入社までの間に払った国民年金や国民健康保険は、どうすればいいのか
- 2026年は税金の控除が変わると聞いたけれど、自分に関係あるのか
妻や子どもの扶養、住宅ローン控除、生命保険。
家族がいると、確認することが一気に増えますよね。
さらに2026年分は、基礎控除の引き上げなどの改正が、12月の年末調整でまとめて反映されます。
全部を読まなくても大丈夫です。
今の状況に近い行から読んでください。
| 今の状況 | 先に読む場所 |
|---|---|
| 年の途中で入社して、12月も今の会社にいる(多くの人はここ) | 書類チェックリスト |
| 自分が年末調整の対象か分からない | 対象になる人・ならない人 |
| 12月に入社した・これから入社する | 12月入社の場合 |
| 前職の源泉徴収票がまだ届かない | 依頼メールの例文/もらえない時の対処 |
| 退職して、年内は再就職しない | 自分で確定申告する場合 |
| 2026年の改正で自分の控除がどう変わるか知りたい | 年収別の基礎控除早見表 |
| 配偶者のパートや子どものアルバイト収入がある | 家族の扶養の基準 |
| 医療費が多い・ふるさと納税・副業がある | 確定申告が必要なケース |
気になるところを読んだら、最後によくある失敗だけ確認しておけば安心です。

転職した年は、退職・入社・保険の切り替えと、手続きが一気に重なります。
私自身、転職してみて、書類の出し忘れや手続きの漏れが起きやすいと実感しました。
一つずつ、順番に確認していきましょう。
転職した年の年末調整の基本|前職の給与も合算して転職先で行う
年末調整は、1年間の所得税を会社が計算し直す手続きです。
毎月の給料から天引きされた所得税と、本来の1年分の税額との差を、12月にまとめて精算します。
国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」では、年の途中で就職して年末まで勤めている人は、年末調整の対象になるとしています。
前の会社に扶養控除等申告書を出して受け取っていた給与も、転職先の年末調整で合算して計算します。
扶養控除等申告書を入社手続きで出したか分からない人は、転職先に確認してみてください。
前職の給与の額や天引きされた税額は、前の会社が発行する「源泉徴収票」で確認します。

前職の源泉徴収票で確認できないと、転職先は年末調整ができません。
その場合は、自分で確定申告をすることになります(No.2674)。
年末調整の対象になる人・ならない人
国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」と国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」をもとに、転職者に関係するものを整理しました。
| 区分 | 主な例 | 転職者が気をつけること |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 1年を通じて勤めている人 | 転職していない人の通常のケース |
| 対象になる人 | 年の途中で就職し、年末まで勤めている人 | 転職者の多くはここ。前職の源泉徴収票が必要 |
| 対象になる人 | 12月中に支給日が来る給与を受けた後に退職した人 | 年末に退職した人は、前の会社で年末調整されることがある |
| 対象になる人 | パートなどで退職し、その年の給与の総額が136万円以下の人(年内に他の会社から給与を受ける見込みがない場合) | 配偶者がパートを辞めた場合などに関係する |
| 対象にならない人 | その年の主な給与の収入が2,000万円を超える人 | 自分で確定申告をする |
| 対象にならない人 | 2か所以上から給与を受けていて、別の会社に扶養控除等申告書を出している人 | 副業先など、申告書を出していない会社の給与は、その会社では年末調整されない |
| 対象にならない人 | 年末調整までに、扶養控除等申告書を出していない人 | 転職先に申告書を出したか、入社書類を見直す |
| 対象にならない人 | 年の途中で退職し、上の条件に当たらない人 | 年内に再就職しない人など。自分で確定申告をする |
※主なものを抜粋しています。全体はリンク先の国税庁の資料で確認してください。

難しく考えなくて大丈夫です!
メインの勤務先1社だけに扶養控除等申告書を出し、その会社で年末調整を受けると覚えておきましょう。
転職した年でも基礎控除や扶養控除は月数で按分しない
「10月入社だから、控除も3か月分だけになるのでは?」
そう心配する人もいますが、答えはノーです。
No.2674では、基礎控除や扶養控除などは、勤めた月数で按分せず全額を控除するとしています。
1月入社でも10月入社でも、控除は1年分まるごと使えます。
その代わり、前職の給与も含めた1年分の給与で計算します。
入社時期・状況別|転職した年の年末調整の判定
自分がどれに当てはまるか、早見表で確認してください。
| 状況 | 転職先で年末調整される? | 自分でやること |
|---|---|---|
| 年の途中で入社し、12月まで在籍している | される(前職分も合算) | 前職の源泉徴収票と各種申告書を、転職先の締切までに出す |
| 12月入社で、12月中に転職先の給与が支給される | 対象になる(前職の源泉徴収票が間に合えば) | 支給日を転職先に確認し、源泉徴収票を急いで取り寄せる |
| 12月入社で、最初の給与が翌年1月に支給される | その年の年末調整の対象外 | 前職分を自分で確定申告(納めすぎなら還付申告) |
| その年に2回以上転職した | される(前の会社すべての分を合算) | その年に給与を受けた前の会社すべての源泉徴収票を出す |
| 前職の源泉徴収票が間に合わない | 確認できるまで見合わせ。対応は会社による | 転職先に相談。間に合わなければ確定申告 |
| 年内に再就職しない | されない | 翌年以降に確定申告(納めすぎの還付申告は翌年1月1日から5年間) |
表の「状況」をタップすると、その解説に移動できます。
ここからは、迷いやすいケースを一つずつ見ていきます。
年の途中で入社し、12月まで在籍している場合
転職者の多くは、このケースです。
あなたがやることは、次の3つです。
締切は会社によって違います。

書類が配られたら、その日のうちに締切を手帳やスマホに入れておきましょう。
12月入社の場合は「年内の給与支給日」で決まる
12月入社だから必ず確定申告、というわけではありません。
決め手になるのは、転職先の最初の給与が、年内に支給されるかどうかです。
給与がどの年の収入になるかは、働いた月ではなく、支給日で決まります(国税庁 No.2509)。
国税庁 No.2668のQ&Aでは、12月に働いた分の給与を翌年1月10日に支給する場合、その給与は本年の年末調整の対象にならないと説明しています。
給与の締め日と支給日は、会社によってばらばらです。
入社手続きのときに「最初の給与の支給日はいつですか」と転職先に確認してください。
年内に支給される場合でも、12月入社は年末調整までの時間がほとんどありません。
前職の源泉徴収票は、退職が決まった段階で依頼しておくのが安全です。
年に2回以上転職した場合
その年の転職が1回だけの人は、読み飛ばして大丈夫です。
たとえば、1〜4月はA社、5〜8月はB社、9月からC社で働いたとします。
この場合、年末調整をするのはC社です。
C社には、その年に給与を受けた前の会社すべての源泉徴収票を出します。
この例なら、A社とB社の両方です。
短期間で辞めた会社ほど、源泉徴収票の依頼を忘れがちです。
必要な書類は、念のため転職先の担当者にも確認しておきましょう。
年内に再就職しない場合は自分で確定申告
すでに転職先に入社している人は、退職金と失業給付へ進んでください。
この場合、原則として年末調整は行われません(12月の給与を受けてから退職した人などを除く)。
年の途中で退職すると、毎月の天引きが1年分の税額より多くなっていることがあります。
国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」では、納めすぎの税金は、翌年以降5年以内に還付申告をすれば戻ってくるとしています。
年内に再就職しない人は、2026年分の改正の恩恵も、確定申告をしないと受けられません(国税庁の改正Q&A Q7-1)。
なお、ここまでの話は所得税のことです。
住民税は、前年の所得をもとに翌年払う別の仕組みです。
退職後の住民税の払い方は、退職後の住民税の払い方でくわしく解説しています。
転職した年の退職金と失業給付の扱い
退職金も失業給付も受け取っていない人は、源泉徴収票が届かない時の対処へ進んでください。
退職金は、年末調整の対象外です。
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき」では、次のように整理されています。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を前の会社に出した:税金は退職金から精算済み。原則として確定申告は不要
- この申告書を出していない:退職金から20.42%が天引きされている。確定申告で精算する
どちらだったか分からない人は、前の会社に確認してみてください。
転職先の年末調整に出すのは、「給与所得の源泉徴収票」です。
退職金の源泉徴収票とは別の書類なので、取り違えないようにしましょう。
基礎控除などの判定に使う「合計所得金額」には、退職所得の金額も含まれます(年末調整のしかた9ページ)。
退職金を受け取った年は、基礎控除の申告書を書く前に担当者に確認しておくと安心です。
一方、失業給付(雇用保険の基本手当など)には所得税がかかりません。
雇用保険法12条で、失業等給付には税金をかけないと定められています。
年末調整で申告する必要はありません。
家族を扶養に入れるかどうかの判定に使う所得にも、失業給付は含めません(年末調整のしかた10ページ)。
自分のケースが分かったら、次は前職の源泉徴収票の準備です。
もう手元にある人は、2026年の改正点へ進んでください。
前職の源泉徴収票がもらえない・間に合わない時の対処
転職した年の年末調整で、つまずきやすいのがここです。
そんなときに打てる手を、順番に紹介します。
源泉徴収票の交付期限は退職日から1か月以内
まず知っておきたいのが、会社には源泉徴収票を渡す義務があることです。
所得税法226条では、年の途中で退職した人には、退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付すると定めています。
退職金の源泉徴収票も、同じく1か月以内です。
退職から1か月たっても届かないなら、遠慮せず前の会社に連絡して大丈夫です。
【道具】前職に源泉徴収票を依頼するメールの例文
依頼は、電話よりメールがおすすめです。
いつ、誰に、何を頼んだかが記録に残るからです。
次の例文を、自分の状況に合わせて書き換えて使ってください。
件名:源泉徴収票(令和8年分)発行のお願い
〇〇株式会社
人事部(総務部) 〇〇様
お世話になっております。
〇月〇日付で退職いたしました、〇〇〇〇です。
転職先での年末調整に必要なため、
「令和8年分 給与所得の源泉徴収票」の発行をお願いできますでしょうか。
■氏名:〇〇〇〇
■社員番号:〇〇〇〇
■在籍期間:〇〇年〇月〇日〜2026年〇月〇日(退職日)
■送付先:〒〇〇〇-〇〇〇〇 (住所)
※PDFなど電子での交付が可能でしたら、このメールアドレス宛てでも構いません
■希望期日:〇月〇日ごろまでに届くと大変助かります
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
〇〇〇〇
電話:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
書くときのコツは3つです。
- 理由を書く:「転職先の年末調整に必要」と書くと、急ぐ理由が伝わる
- 希望期日を書く:転職先の締切から逆算して、余裕のある日付にする
- 本人確認の情報をそろえる:氏名・社員番号・退職日があると、担当者が探しやすい
送ったメールは、税務署への届出で依頼した記録として使えるので、削除せずに残しておいてください。

前職は内勤責任者として、書類の締切を管理する立場にいました。
期日が書いてある依頼ほど、後回しにされにくいです。
それでも届かない時は税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」
そんなときは、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す方法があります。
国税庁「源泉徴収票不交付の届出手続」によると、ポイントは次のとおりです。
- 出せる時期:交付期限(退職から1か月)を過ぎたら、いつでも
- 提出先:納税地等を所轄する税務署長(e-Taxでも書面でも提出可。書面の様式は令和8年8月に変わっているため、リンク先の最新様式を使う)
- 添付するもの:給与明細の写しや、交付を求めたことが分かる書類など
- 対象外:一度受け取った源泉徴収票をなくした場合の再発行は対象外
ただし、届出をすれば必ず届く、というものではありません。
国税庁の案内「源泉徴収票不交付の届出書を提出される前に、ご確認ください。」では、税務署は勤務先に指導をするものの、法律上の拘束力はないとしています。
同じ案内では、届出のあとも自分で交付を求め続けることと、依頼の記録(いつ・どこで・誰に・どの方法で頼み、相手がどう答えたか)を残すことを求めています。
転職先の年末調整に間に合わない時は確定申告
年末調整のしかた36ページでは、会社向けに「確認ができるまではその人の年末調整は見合わせてください」と書かれています。
届くまで待ってもらえるかどうかは、会社の事務の進め方しだいです。
間に合わないと分かった時点で、すぐ転職先の担当者に相談しましょう。
それでも年末調整を受けられなかった場合は、翌年に自分で確定申告をして精算します。
確定申告でも前職の給与と税額が必要なので、前の会社への依頼は続けてください。
次は、2026年の改正です。
家族の扶養に関わるので、配偶者や子どもがいる人ほど読んでおきたい章です。
2026年(令和8年分)の年末調整で変わること|転職者が知っておきたい改正点
2026年分の所得税は、令和8年度の税制改正で控除が大きく変わりました。
転職した年の年末調整にも、そのまま関係します。
改正の全体は、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」にまとまっています。
毎月の天引きは11月まで変わらず、12月の年末調整でまとめて精算
「改正されたのに、給与明細の所得税が変わっていない」
それで正しいのです。
国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」では、2026年11月までの毎月の天引きは、これまでどおりとしています。
12月の年末調整で、改正後の控除を使って1年分の税額を計算し直し、まとめて精算します。
毎月の天引きの表が改正後のものに変わるのは、2027年1月からです。
前職の給与も、転職先の年末調整で改正後のルールに沿って計算し直されます。
前職の源泉徴収票を出して年末調整を受けることが、改正の恩恵を受けるいちばんの近道です。
一方で、改正Q&A(Q1-3・Q7-1)では、次の人は確定申告をしないと改正後の控除を受けられないとしています。
確定申告をしないと改正後の控除を受けられない
- 2026年11月30日以前に、その年最後の給与を受けて年末調整された人
- 2026年の途中で退職し、年末調整を受けていない人
【道具】転職した年に使う年収別の基礎控除早見表
基礎控除は、所得がある人なら誰でも受けられる控除です。
2026年分は、この基礎控除が大きく引き上げられました。
表の「合計所得金額」は、1年間の所得の合計です。
給与だけの人なら、年収(額面)から給与所得控除を引いた金額になります。
| 合計所得金額 | 給与だけの場合の年収の目安 | 2026・2027年分 | 2028年分以後 | 参考:2025年分 |
|---|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 206万円以下 | 104万円 | 99万円 | 95万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 206万円超〜475万1,999円以下 | 104万円 | 62万円 | 88万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 475万1,999円超〜665万5,556円以下 | 104万円 | 62万円 | 68万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 665万5,556円超〜850万円以下 | 67万円 | 62万円 | 63万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 850万円超〜2,545万円以下 | 62万円 | 62万円 | 58万円 |
※年末調整のしかた3ページ、改正のあらまし1ページ、令和7年分 年末調整のしかたをもとに作成。年収の目安は2026・2027年分の給与所得控除で計算した金額で、一部の控除を受ける場合は表と異なります。合計所得金額2,350万円超の基礎控除は、今回の改正の対象外です。
たとえば、給与だけで年収600万円の人は、上から3段目に当たります。
基礎控除は、2025年分の68万円から、2026年分は104万円になります。
▼ 「178万円」の内訳を見る
なお、財務省「令和8年度税制改正の大綱」では、所得税の課税最低限(所得税がかかり始める水準)を178万円まで特例的に先取りして引き上げるとしています。
2026・2027年分の基礎控除104万円と給与所得控除の最低額74万円を合わせると、ちょうど178万円です。
給与所得控除の最低保障額は2026・2027年分が74万円
給与所得控除は、給与の収入から自動的に差し引かれる、会社員の経費のような控除です。
この控除の最低額が、2025年分の65万円から、2026・2027年分は74万円に引き上げられました(改正のあらまし)。
- 給与の年収190万円以下:給与所得控除は74万円
- 2028年分以後:最低額は69万円
- 給与の年収220万円超:給与所得控除の額に改正なし
年収が高めのミドル世代本人には、あまり関係しない改正です。
ただ、パートで働く配偶者や、アルバイトをしている子どもの扶養の判定には関わってきます。
家族の扶養の基準も変わる|配偶者・子どもの年収の目安
家庭を持つミドル世代にとって、いちばん影響が大きいのがここです。
基礎控除などの引き上げに合わせて、家族を扶養に入れられる年収の基準も上がりました。
| 家族の区分 | 2026・2027年分(給与だけの年収の目安) | 2025年分(給与だけの年収の目安) |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者(配偶者控除の対象など) | 136万円以下(合計所得金額62万円以下) | 123万円以下(58万円以下) |
| 特定親族(19歳以上23歳未満で、扶養の基準を超えた親族) | 136万円超〜197万円以下 | 123万円超〜188万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 136万円超〜207万円以下 | 123万円超〜201万5,999円以下 |
| 勤労学生 | 163万円以下 | 150万円以下 |
※改正のあらまし2ページ、年末調整のしかた4ページをもとに作成。
たとえば、パートで働く配偶者の年収が130万円だったとします。
2025年分の基準(123万円以下)では、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除の対象でした。
2026年分の基準(136万円以下)なら、配偶者控除の対象に入ります(本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合)。
控除の金額は、本人の合計所得金額が900万円以下ならどちらも38万円です。
変わるのは控除の区分と、扶養の判定です。
大学生の子どもがアルバイトをしている家庭も、同じように確認してみてください。
控除の額は、次のとおりです。
▼ 配偶者控除・扶養控除・特定親族特別控除の金額を見る(表3つ)
①配偶者控除
| 本人の合計所得金額 | 配偶者が70歳未満 | 配偶者が70歳以上 |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超〜950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超〜1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
| 1,000万円超 | 受けられない | 受けられない |
②扶養控除(年齢は12月31日時点で判定)
| 扶養する家族の年齢 | 控除額 |
|---|---|
| 16歳未満 | 対象外 |
| 16歳以上(下の区分を除く) | 38万円 |
| 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
| 70歳以上(同居の親など) | 58万円 |
| 70歳以上(上記以外) | 48万円 |
③特定親族特別控除(2026年分から基準が変わります)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 19歳以上23歳未満の親族 |
| 親族の年収 | 136万円を超え197万円以下 |
| 控除額 | 最高63万円(親族の年収が上がるほど少なくなる) |
| 位置づけ | 扶養控除の代わりに受けられる控除 |
ここで、転職者が見落としやすい手続きがあります。
扶養の基準の改正は、2026年12月1日以後に支払う給与から適用されます。
入社時に出した扶養控除等申告書には、改正前の基準で外れた家族が書かれていないかもしれません。
改正Q&A(Q2-1)では、新たに扶養の対象になった家族がいる場合、その家族を書いた扶養控除等(異動)申告書を出すとしています。
「異動月日及び事由」の欄には、「令和8年12月1日 改正」などと書きます。
家族の年収が新しい基準に入るなら、扶養控除等申告書を出し直しましょう。
配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには「配偶者控除等申告書」、特定親族特別控除を受けるには「特定親族特別控除申告書」も必要です(年末調整のしかた9ページ)。
23歳未満の子どもがいる世帯は生命保険料控除の上限が上がる
国税庁「No.1140 生命保険料控除」によると、23歳未満の扶養親族がいる人は、生命保険料控除に特例があります。
対象は2026・2027年分です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4ページ)。
- 新しい契約(2012年以後の契約)の一般の生命保険料控除の上限が、4万円から6万円に上がる
- 生命保険料控除全体の上限12万円は変わらない
年末調整のしかた22ページでは、夫婦の間に23歳未満の扶養親族である子が1人いる場合、夫婦の両方がこの特例を使えるとしています。
共働きの家庭は、夫婦それぞれの保険料控除申告書で確認してみてください。
2025年分の改正との違い|2段階で変わった控除
「去年も控除が変わったと聞いた」という人もいますが、そのとおりです。
控除は、2025年分で一度変わり、2026年分でさらに上積みされました。
▼ 2025年分と2026年分の比較表を見る
| 項目 | 2025年分(令和7年度改正) | 2026年分(令和8年度改正) |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 本来の額が48万円から58万円に。所得に応じた上乗せで最大95万円 | 本来の額が58万円から62万円に。上乗せで最大104万円(2027年分まで) |
| 給与所得控除の最低額 | 55万円から65万円に | 65万円から74万円に(2027年分まで) |
| 扶養親族の年収の目安 | 123万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族特別控除 | 新しく作られた(最高63万円) | 対象の年収の目安が136万円超〜197万円以下に |
| 生命保険料控除の特例 | なし | 23歳未満の扶養親族がいれば、一般の生命保険料控除の上限が6万円 |
※令和7年分 年末調整のしかた、改正のあらましをもとに作成。
どの年分の話なのかを確かめてから読むようにしましょう。
2026年分の申告書の様式や記載例は、国税庁「年末調整がよくわかるページ」で最新のものを確認してください。
家庭持ちのミドル世代が転職先に出す書類チェックリスト
ここまでの内容を、転職先に出す書類のチェックリストにまとめました。
入社前後の手続き全体を確認したい人は、入社前後の手続きチェックリストもあわせて使ってください。
- 前職の給与所得の源泉徴収票(その年に給与を受けた前の会社すべての分)
- 扶養控除等(異動)申告書(新たに扶養に入る家族がいれば出し直し)
- 基礎控除申告書・配偶者控除等申告書(改正後の控除額で書く。国税庁の様式では1枚にまとまった兼用様式)
- 特定親族特別控除申告書(19歳以上23歳未満の子などの年収が136万円超197万円以下の場合)
- 保険料控除申告書(生命保険・地震保険・社会保険料・iDeCoなど)
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書(地震保険料控除は最高5万円。No.1145)
- 退職から入社までの空白期間に払った国民年金の控除証明書・国民健康保険の支払額が分かるもの(国民年金は控除証明書を申告書につけて出す。国民健康保険は金額を書くための控えで、添付は不要)
- 個人で払っているiDeCoの掛金の証明書(掛金は全額が控除の対象。No.1135)
- 住宅ローン控除2年目以降の人:住宅借入金等特別控除申告書、控除証明書、金融機関の年末残高等証明書
どの書類が必要かは、家族の状況によって変わります。

迷ったら、転職先の担当者に「この書類は必要ですか」と聞いてしまうのが早いです。
空白期間に払った国民年金・国民健康保険を忘れない
退職から入社までの間に自分で払った国民年金や国民健康保険の保険料も、控除の対象です。
国税庁「No.1130 社会保険料控除」では、自分や生計を一にする家族の分を本人が払った場合、全額が控除されるとしています。
給与から天引きされていない分は、会社には分かりません。
保険料控除申告書の「社会保険料控除」の欄に、自分で書いて申告します。
配偶者の国民年金を、あなたがまとめて払った場合も同じです。
住宅ローン控除2年目以降は転職先の年末調整で受けられる
住宅ローン控除を受けていない人は、確定申告が必要なケースへ進んでください。
住宅ローン控除は、最初の年だけ自分で確定申告をします。
2年目以後は、会社が変わっても転職先の年末調整で続けて受けられます。
年末調整のしかた29〜30ページをもとに、転職先に出す書類を整理しました。
申告書は、入居2年目の10月下旬頃(証明書方式)か11月下旬頃(調書方式)に、控除を受ける各年分がまとめて税務署から送られてきます(書面で受け取る場合。e-Taxでの交付を選んだ人は時期が異なります)。
引っ越しや転職のバタバタでなくしてしまったら、税務署に再交付を申請できます。
住宅ローンを返している途中の転職で気をつけたいことは、住宅ローン返済中に転職するときの注意点にまとめています。
転職した年に年末調整の後で確定申告が必要・した方がいいケース
年末調整を受けても、それで全部が終わるとは限りません。
次のケースに当てはまる人は、翌年に確定申告をします。
医療費控除は年末調整では受けられない
家族の通院や出産、歯の治療などで、医療費が多くかかった年もありますよね。
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」による計算は、次のとおりです。
自分だけでなく、生計を一にする家族のために払った医療費もまとめられます。
家族の分の領収書も、捨てずに取っておきましょう。
ふるさと納税はワンストップ特例の条件と転居に注意
総務省のふるさと納税の手続きのページと総務省の案内資料のポイントは、次のとおりです。
転職した年は、確定申告が必要になったり、引っ越しをしたりと、条件が変わりやすい年です。
確定申告をするなら、ふるさと納税の寄附金も確定申告に含めましょう。
副業の所得が20万円を超える場合
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、主に次の人が確定申告の対象とされています。
- 給与の収入が2,000万円を超える人
- 給与を1か所から受けていて、給与と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人(例外あり)
ここでいう「所得」は、売上ではなく、経費を引いたあとの金額です。
また、No.1900のQ&Aでは、副業の所得が20万円以下でも、医療費控除などで還付申告をするなら、その所得も含めて申告するとしています。
これから転職する人は、入社の時期で年末の手続きの負担が変わることも、計画に入れておくと安心です。
これから転職するなら、入社日はどう決めればいい?
入社日は、内定のあとに転職先と話し合って決めるのが一般的です。
決める前に、退職日・入社日・ボーナスの支給月・前職の源泉徴収票を受け取る時期を、一つの予定表に並べてみてください。
日程を先に組んでおくと、年末の手続きで慌てずに済みます。
- 自分で直接応募する場合:入社日の希望は、自分で企業に伝えて調整する
- 転職エージェント経由で応募する場合:担当者が間に入り、入社日の希望を企業に伝えてくれる
1月や4月の入社を目指すなら、年内のうちに相談を始めておくと、日程を組む余裕が生まれます。
※求人の紹介や入社日の調整などのサポートは、そのエージェント経由で応募した求人が対象です。年末調整や確定申告は、転職先の会社とご自身で行う手続きです。
最後に、転職した年に起きやすい失敗を4つだけ確認しておきましょう。
転職した年の年末調整でよくある失敗とデメリット
どれも、書類を出せば防げる失敗です。
もう一つ、知っておきたいデメリットがあります。
前職の源泉徴収票を転職先に出すと、前の会社での給与の額が転職先の担当者に分かります。
年収が下がる転職や、前職の待遇を知られたくない人には、気になる点かもしれません。
ただ、出さなければ転職先で年末調整は受けられず、自分で確定申告をすることになります。
手間と気持ちをてんびんにかけて決めましょう。
また、年末調整で税金が戻るかどうか、いくら戻るかは、人によって大きく違います。
前職でどれだけ天引きされていたか、家族構成、保険料などで変わるからです。
「転職した年は必ず戻ってくる」とは限りません。

年末調整は「会社が全部やってくれるもの」と思いがちです。
会社が知らないことは、自分で申告しない限り反映されません。
- 前職の給与
- 自分で払った保険料
- 家族の年収の変化
この3つは、特に意識しておきたいところです。
転職した年の年末調整でよくある質問
Q. 前職の源泉徴収票を転職先に出したくない場合は?
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A. 出さないこともできますが、転職先で年末調整を受けられず、前職分と転職先の分を合わせて翌年に自分で確定申告をすることになります(国税庁 No.2674)。
扱いは会社によって異なることもあるので、まずは転職先の担当者に相談してください。
Q. 12月入社で、年内に給料が出ない場合は?
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A. 最初の給与が翌年1月に支給されるなら、その給与は翌年の収入です(国税庁 No.2509)。
転職先ではその年の年末調整は行われないため(No.2668のQ&A)、前職分は翌年に自分で確定申告(納めすぎなら還付申告)をします。
2026年分は、改正後の控除を受けるためにも確定申告が必要です。
前職の源泉徴収票は大切に保管してください。
Q. 2026年の年末調整で還付は増えますか?
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A. 11月までの天引きは改正前のままで、12月の年末調整で改正後の控除を使って1年分を計算し直すため、還付になる人がいます(改正のあらまし)。
ただし、還付になるか、いくら戻るかは、年収や家族構成、保険料などで人によって違います。
天引きされた所得税がもともと0円の人は、確定申告で改正後の控除を使っても戻る税金はありません(改正Q&A Q7-1)。
Q. 退職金をもらった年は確定申告が必要ですか?
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A. 前の会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、原則として確定申告は不要です。
出していない場合は、退職金から20.42%が天引きされているので、確定申告で精算します(国税庁 No.1420)。
退職金は年末調整では精算されません。
分からない場合は、退職金の源泉徴収票を確認し、前の会社か税務署に問い合わせてください。

税金の手続きは、分からないまま後回しにしがちです。
迷ったら、転職先の担当者に聞くのがいちばん早いです。
まとめ|転職した年の年末調整は前職の源泉徴収票から動く
転職した年の年末調整は、やることを順番に並べれば、迷う場面は限られます。
すべてを一度に片づける必要はありません。
まずは、前職の源泉徴収票が手元にあるか確認するところから始めてください。
その一歩が、家族の控除をきちんと受けるための土台になります。
最新の情報は国税庁「年末調整がよくわかるページ」で確認し、判断に迷う点は勤務先の担当者や税務署に相談してください。
手続きが片づいたら、次の一歩はどう選べばいい?
これから転職する人も、転職を終えた人も、今の状況に近いものを選んでください。
- 年明けの入社に向けて、これから動きたい → リクルートエージェントで応募できる求人の幅を確かめる
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どれも、今すぐ転職を決めるためのものではありません。
来年の手続きで慌てないためにも、動く時期を自分で選べる状態にしておきましょう。
※求人の紹介や選考・入社日の調整などのサポートは、そのエージェント経由で応募した求人が対象です。年末調整や確定申告の手続きを代わりに行うものではありません。
※オファーが届くかどうかや、その内容は、経歴や時期によって異なります。

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