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今年も、給料はほんの少しだけ上がった。
こんなふうに感じていませんか?
- スーパーでの買い物
- 子どもの塾代
- 住宅ローンの返済
出ていくお金ばかりが増えて、給料の伸びが追いつかない。
その感覚は、気のせいではありません。
額面が少し増えても、物価がそれ以上に上がれば、買えるものは減ります。
これが「実質減収」です。
そして、抜け出す選択肢は「今の会社で上げる」「副業で補う」「転職で上げる」の3つです。
給料の悩みを抱えているのは、あなただけではありません。
doda「転職理由ランキング」では、「給与が低い・昇給が見込めない」が36.6%で5年連続の1位でした。年代別では30代が36.9%、40代が39.6%です。
この記事では、
をまとめました。
先に自動計算ツールを使いたい人は
実質の目減りは、源泉徴収票と物価上昇率があれば3分で計算できます。
教育費や住宅ローンを抱える30代後半〜40代が、勢いではなく数字で判断できるように書いています。

家庭を持つと、大事なのは額面ではありません。
月末にいくら残るかです。
まずは感覚ではなく、数字で今の状況を確かめましょう。
給料が上がらないのに物価が上がる今、ミドル世代の家計に起きていること
最初に、「給料が上がらないのに苦しい」の正体を整理します。
ここがわかると、次の計算パートがぐっと理解しやすくなります。
実質賃金とは何か|額面が同じでも実質減収になる仕組み
給料には2つの見方があります。
厚生労働省の毎月勤労統計調査の用語説明では、実質賃金は「名目賃金指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出」すると定義されています。
むずかしく聞こえますが、考え方はシンプルです。
この数年、まさにこれが起きていました。
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」によると、2025年は次のとおりです。
給料は増えていたのに、物価の伸びがそれを上回っていたわけです。

2025年の時点で、給料で買える量は2020年より約2%少ない水準でした。
平均の実質賃金はプラスでも、ミドル世代の伸びは鈍い
一方で、2026年に入って流れは変わっています。
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果速報」では、給与総額は311,364円で前年同月比+3.8%。
実質賃金は+1.5%で、2026年1月から8か月連続のプラスです。
物価の伸びも落ち着いてきており、2026年8月は持家の帰属家賃を除く総合で+2.2%(毎月勤労統計調査)、総務省統計局の消費者物価指数の総合で+1.9%でした。
つまり、平均で見れば「給料の伸びが物価に追いついてきた」状態です。

では、なぜ「自分は苦しいまま」と感じる人がいるのでしょうか?
理由は2つあります。
①4年分の目減りを取り戻している途中だから
2025年までの4年間で減った分は、今年のプラスだけでは、すぐには埋まりません。
②平均の中に、伸びが大きい層と小さい層が混ざっているから
年齢別・企業規模別に見ると、ミドル世代の中でも伸び方に差があります。
年齢別の最新データは2025年6月分です(2026年分はまだ公表されていません)。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の月例の所定内給与(2025年6月分、賞与は含まず)は次のとおりです。
| 年齢 | 所定内給与(月額) | 前年比 |
|---|---|---|
| 全体(男女計) | 34万600円 | +3.1% |
| 35〜39歳 | 34万600円 | +3.6% |
| 40〜44歳 | 36万4,300円 | +3.7% |
| 45〜49歳 | 37万7,900円 | +1.4% |
| 50〜54歳 | 38万8,800円 | +2.2% |
※一般労働者(フルタイム)の平均です。
全体が+3.1%なのに対して、45〜49歳は+1.4%と伸びが鈍いのがわかります。
さらに、45〜49歳を企業規模別に見ると、大企業+4.7%、中企業−0.6%、小企業+0.1%。

同じ年代でも、大企業以外ではほとんど上がっていません!
これを2025年の物価上昇率3.7%と比べると、おおよそ次のようになります。
ニュースでは、2026年春闘の高い賃上げ率も話題になりました。
春闘5%なのに自分は上がらない理由(データを見る)

平均給与も正社員の給与も、物価上昇率を下回っていました。
「平均はプラスなのに自分は苦しい」のは、あなたの感覚がずれているのではなく、平均と個人の差が大きいからです。
平均より上か下か。
次の章で、あなたの数字を3分で確かめられます。
教育費と住宅ローンを抱える30代後半〜40代ほど影響が大きい理由
同じ実質減収でも、家計への響き方は人によって違います。
特に重くのしかかるのが、30代後半〜40代に集中しやすい教育費と住宅ローンです。
文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」では、子ども1人あたりの年間の学習費は次のとおりです。
| 学校種 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 中学校 | 54万2,450円 | 156万359円 |
| 高等学校 | 59万6,954円 | 117万9,261円 |
子どもが中学・高校に上がる時期は、ちょうどミドル世代と重なります。
住宅ローンも同じです。住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」では、利用者の平均年齢は43.3歳、平均世帯年収は716万円、総返済負担率の平均は22.8%でした。
教育費もローン返済も、物価が上がったからといって簡単には削れません。
そのため、物価上昇の影響は残りの食費や日用品、家族の楽しみに集中しやすくなります。

削れない出費が大きい家庭ほど、実質減収を「生活が苦しい」と強く感じやすいのです。
自分の実質減収を3分で計算する方法【保存推奨】
ここからは、あなた自身の数字で確かめていきます。
平均の話をいくら聞いても、自分の家計がどうなっているかはわかりません。
計算は電卓1つで終わります。
用意するのは昇給前後の年収(源泉徴収票)と物価上昇率だけ
準備するものは2つだけです。
物価上昇率は、比べたい年に合わせて選びます。
たとえば、2024年と2025年の年収を比べるなら、2025年の物価上昇率を使います。
物価上昇率は、毎月勤労統計調査が実質賃金の計算に使っている「持家の帰属家賃を除く総合」の前年比を使うのがおすすめです(2025年は3.7%)。
迷ったら、この数字をそのまま使って問題ありません。
総務省統計局の消費者物価指数のページの「総合」(2025年は3.2%)を使ってもかまいませんが、その場合は目減りが少し小さく出ます。
計算式:昇給率 − 物価上昇率 = おおよその実質の伸び
厚生労働省の定義では、実質賃金は「名目÷物価」で計算します。
ただ、数%程度の変化であれば、おおよそ引き算で求められます。
プラスなら、給料で買える量は増えています。
マイナスなら、額面が増えていても実質は減収です。
計算例:昇給率1%・物価上昇率3.7%なら実質約−2.7%
実際に数字を入れてみましょう。以下の年収は「例」です。
7万円の昇給は、うれしいはずです。
それでも、物価の伸びを差し引くと18万円前後の目減りになります。

これが「上がったはずなのに苦しい」の正体です。
逆のケースも見ておきましょう。
物価上昇率が直近の2%前後(2026年8月は持家の帰属家賃を除く総合で2.2%)で、昇給率が3%だった場合(例)は、3% − 2.2% = 約+0.8%。
物価の伸びが落ち着いた今は、昇給の幅しだいで実質プラスに戻る人もいます。
だからこそ、平均ではなく自分の数字で確かめることが大切です。
あなたの年収で実質減収をチェックする
手で計算したい場合は、次の表を使ってください。スマホのメモや紙に写して、右の列を埋めれば同じ結果が出ます。
| 項目 | 計算のしかた | 例 | あなたの数字 |
|---|---|---|---|
| ①去年の年収 | 源泉徴収票の支払金額 | 700万円 | ___万円 |
| ②今年の年収 | 源泉徴収票の支払金額 | 707万円 | ___万円 |
| ③昇給率 | (② − ①)÷ ① × 100 | 1.0% | ___% |
| ④物価上昇率 | 毎月勤労統計調査の物価(持家の帰属家賃を除く総合)。2025年は3.7% | 3.7% | ___% |
| ⑤実質の伸び | ③ − ④ | −2.7% | ___% |
| ⑥購買力の増減(概算) | ① × ⑤ ÷ 100 | 約−18.9万円 | ___万円 |
※⑤と⑥は引き算による概算です。⑤は割り算で計算すると約−2.6%です。⑥は厳密な計算(② ÷(1+④÷100)− ①)とは少しずれます。
計算結果から見る「動くべきライン」の目安
政府も、内閣府「令和7年度 年次経済財政報告」(2025年)で「2%の安定的な物価上昇を実現するとともに、これを上回る名目賃金の上昇を持続的に実現することが不可欠」としています。
つまり、昇給率が物価上昇率を下回り続ける状態は、目指している状態から外れています。
そのうえで、計算結果ごとの動き方を整理します。
| ⑤実質の伸び | 状態 | おすすめの動き方 |
|---|---|---|
| プラス | 実質の給料は守れている | 今の会社で働きながら、市場価値の確認だけ続ける |
| 0〜−2%程度 | 少しずつ目減りしている | 評価面談で昇給の条件を確認する。副業を小さく試す |
| −2%以下、またはマイナスが2年以上続く | 会社の昇給の仕組みが物価に追いついていない | 今の会社以外の選択肢(副業・転職)を本格的に比べ始める |
※公的な基準ではなく、筆者の提案です。家計の状況によって判断は変わります。
大切なのは、マイナスが1年で終わるのか、毎年続くのかを見極めることです。
その見極めに役立つのが、次の「給料が上がらない会社の特徴」です。
計算でマイナスだった人へ。「社外ならいくらか?」を知ろう
計算表でわかるのは、今の会社の中での目減りまでです。
同じ経験で社外ならどれくらいの給料が提示されるのかは、社内にいるだけではわかりません。
- 社内の数字だけで考える場合:目減りしているのはわかっても、それが会社の問題なのか相場の問題なのか判断できない
- 社外の数字も持っている場合:今の給料が相場より低いのか、相場どおりなのかを比べたうえで、次の動き方を選べる
経歴を登録しておくスカウト型のサービスなら、忙しい時期でも社外の評価を確かめられます。
- 経歴を登録すると企業からスカウトが届き、提示される条件から社外での給料の目安をつかめる
- 無料のコンピテンシー診断で、自分の強みや向いている仕事を言葉にできる
- 利用は無料。転職するかどうかは決めなくていい
→ ミイダス
で社外での給料の目安を確かめる
給料が上がらない会社の特徴|我慢しても上がらないサイン
実質のマイナスが続くかどうかは、会社の給料の決め方に左右されます。
あなたが頑張っているかどうかとは、別の話です。
厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」(常用労働者100人以上の企業1,847社)から、昇給しにくい会社の特徴を見ていきます。
1. 会社の業績が伸びていない
賃金の改定で最も重視した要素は「企業の業績」で41.7%でした。業績が横ばいや下り坂の会社では、個人の評価が良くても昇給の枠そのものが小さくなりがちです。
2. 定期昇給の制度がない
定期昇給制度がない企業は17.7%。労働組合のない企業に限ると20.7%です。制度がなければ、毎年の昇給は約束されていません。
3. ベースアップがない、または労働組合がない
定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップ(給料表全体の引き上げ)を実施した企業は組合ありで82.1%、組合なしで49.4%でした。組合の有無で、全体の底上げが行われる割合に大きな差があります。
4. 企業規模が小さい
1人あたりの賃金の改定率は、5,000人以上の企業で5.1%、100〜299人の企業で3.6%でした。
5. 改定率が低い業界にいる
業界別では、建設業5.9%、製造業5.2%に対して、医療・福祉は2.3%、生活関連サービス・娯楽業は2.9%でした。
あなたの会社に当てはまるものをチェックしてみてください。
当てはまる数が多いほど、我慢を続けても給料が物価に追いつく見込みは小さくなります。
3つ以上当てはまり、計算した実質の伸びもマイナスなら、今の会社以外の選択肢も比べ始めるタイミングです(筆者の目安)。
ただし、当てはまったからすぐ辞めるべき、というわけではありません。
規模が小さい会社や改定率の低い業界にも、働きやすさや通勤のしやすさなど、お金以外の良さがあります。
まずは、就業規則や賃金規程を見て、定期昇給の有無を確かめるところから始めましょう。

前職で内勤責任者として、部下を評価する側にいました。
評価する側に立って実感したのは、昇給の幅は個人の頑張りだけでは決まらないということです。
会社の仕組みを知ってから、自分の頑張り方を決めてください。
給料が上がらない時の選択肢を比較|今の会社で上げる・副業・転職
ここからは、実質減収から抜け出す3つの選択肢を比べます。
どれが正解というより、あなたの家計と会社の状況に合うものを選ぶことが大切です。
今の会社で給料を上げる|評価面談と昇給交渉で狙える範囲
最もリスクが低いのが、今の会社で給料を上げる方法です。
収入が途切れず、家族の生活リズムも変わりません。
狙えるのは、主に次の2つです。
- 毎年の昇給で、評価を上げて昇給額を増やす
- 等級や役職を上げて、給料の水準そのものを上げる
昇給額は会社の昇給の枠の中でしか動かないため、大きく上げたいなら昇格を狙うのが現実的です。
そのためには、評価面談で「何をすれば昇給・昇格できるのか」を具体的に確認しておく必要があります。
面談の準備や伝え方は、評価面談で正当に評価されるための準備で例文つきで解説しています。
副業で収入を補う|家庭持ちが続けられる時間と現実的な金額
本業を続けながら収入を足せるのが副業です。
エン・ジャパンの調査(2025年、『ミドルの転職』を利用する35歳以上1,919人)では、副業・パラレルキャリアに取り組む人は約4人に1人(23%)でした。
取り組んでいる人のうち、年間の副収入が100万円以上の人は約2割です。
また、doda「副業の実態調査」(2023年、正社員1万5,000人)では、副業をしている40〜59歳(調査の区分では「40代以上」、2023年時点)の平均月収は96,564円でした。
ただし、この平均は一部の高収入の人に引き上げられていると調査自体が注記しています。

多くの人にとって、副業で月10万円以上の収入は「平均」ではなく「上のほう」と考えておくのが安全です。
家庭持ちにとって一番の壁は、時間です。
始める前に、勤務先の就業規則で副業が認められているかを必ず確認してください。
副業の所得によっては、確定申告も必要になります。
副業と転職のどちらを優先すべきかは、副業と転職、どちらを先にすべきかで詳しく比べています。
転職で給料を上げる|年収が上がりやすい人と下がる人の差
給料の水準そのものを変えられるのが転職です。
厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概況」によると、転職した人の賃金の変化は次のとおりです。
- 増えた:40.8%
- 変わらない:25.5%
- 減った:31.0%
2025年の数字で、年齢別に「増えた人の割合 − 減った人の割合」を見ると次のとおりです。
| 年齢 | 増えた人 − 減った人 |
|---|---|
| 35〜39歳 | +19.6ポイント |
| 40〜44歳 | +17.5ポイント |
| 45〜49歳 | +11.0ポイント |
| 50〜54歳 | −12.6ポイント |
2025年は、45〜49歳までは転職で賃金が上がった人のほうが多くなりました。
50〜54歳では、下がった人のほうが多くなりました(前年の2024年は50〜54歳もプラスでした)。
年齢が上がるほど差が縮む点は共通しています。
動くなら、早めに情報を集めておくほど選択肢が残ります。
転職エージェント経由の転職に限った集計もあります。
インディードリクルートパートナーズの集計(2026年4〜6月期)では、リクルートエージェント経由で転職し、前職より賃金が1割以上増えた人の割合は45.6%で、2002年の統計開始以来の最高でした。
ただし、利用者の層や集計方法が雇用動向調査とは違うため、単純には比べられません。
年齢別の数字も公表されていないため、ミドル世代も同じ割合とは言い切れません。
筆者の見方では、年収が上がりやすい人と下がりやすい人には次のような差があります。
| 上がりやすい人 | 下がりやすい人 |
|---|---|
| 今の経験をそのまま活かせる職種・業界を選ぶ | 未経験の職種に移る |
| 実績を数字や事実で説明できる | 「給料が低いから」だけで動く |
| 在職中に複数の求人を比べている | 辞めてから急いで探す |
| 年収以外の条件(残業・手当)まで確認する | 提示年収だけで決める |
年収を上げて転職した人の特徴は、転職で年収を上げる人の特徴でくわしくまとめています。
3つの選択肢の比較表|増える額・かかる時間・リスク
ここまでの内容を1つの表にまとめました。
| 今の会社で上げる | 副業で補う | 転職で上げる | |
|---|---|---|---|
| 増える額 | 会社の昇給の枠の中。昇格できれば大きい | 始めは小さい。年100万円以上は取り組む人の約2割 | 上がる人は大きいが、約3割は下がる |
| かかる時間 | 次の評価まで半年〜1年 | 軌道に乗るまで数か月以上 | 準備から内定まで数か月 |
| リスク | 低い。ただし上限は会社しだい | 体力と家族の時間。就業規則違反 | 職場が合わない可能性 |
| 向いている人 | 会社の業績が伸びている、昇給の仕組みがある | 本業が安定していて、週に数時間を確保できる | 経験を活かせる求人がある。実質マイナスが続いている |
どれか1つに絞る必要はありません。
今の会社で昇給の条件を確かめながら、社外の求人も見ておく。
この「並行して比べる」動き方が、家庭持ちには一番安全です。
給料が上がらないまま転職して失敗するパターンとデメリット
転職は、給料を大きく変えられる選択肢です。
その一方で、先ほどの雇用動向調査のとおり、転職した人の31.0%は賃金が下がっています。
ここでは、ミドル世代がはまりやすい失敗パターンを3つ紹介します。
年収だけで決めて、残業増や手当の減少で手取りが変わらない
提示された年収が上がっていても、中身を見ると変わらないことがあります。
年収が50万円上がっても、家族手当がなくなり、残業が月20時間増えれば、時給で見るとほとんど変わらないこともあります。

比べるのは年収ではなく、手取りと働く時間です。
給料の不満だけを転職理由にして、面接で評価されない
給料が転職理由の1位なのは、データのとおりです。
ただ、面接で「給料が上がらないので」とだけ伝えると、「うちでも同じ不満を持つのでは」と受け取られやすくなります。
不満をそのまま言うのではなく、「自分の経験を正当に評価してもらえる環境に移りたい」という前向きな理由に言い換えましょう。
引き止めの昇給に乗ったものの、翌年以降は上がらない
退職を伝えたとたん、会社から昇給を提示されることがあります。
うれしい話ですが、注意が必要です。
- その昇給は今回だけか、翌年以降の昇給の仕組みも変わるのか
- 等級や役職が上がるのか、手当で一時的に上乗せするだけなのか
- 「一度辞めようとした人」として、社内での見られ方が変わらないか
会社の昇給の仕組みが変わらなければ、翌年からはまた物価に追いつかない状態に戻ります。
一時的な年収ダウンに家計が耐えられるかを確認する手順
転職直後は、賞与の算定期間の関係などで、一時的に収入が下がることもあります。
動く前に、家計がそれに耐えられるかを次の手順で確かめておきましょう。
- 毎月必ず出ていくお金(住宅ローン、保険、通信費、教育費)を書き出す
- 子どもの進学予定を3〜5年先まで並べ、教育費が増える時期を確認する(公立か私立かで年間の学習費は大きく違う)
- 住宅ローンの返済額が年収の何%かを計算する(フラット35利用者の平均は22.8%)
- 年収が1割下がった場合(例:500万円→450万円)でも、毎月の収支が赤字にならないかを試算する
- 赤字になるなら、何か月分の貯蓄で乗り切れるかを確認する
「何万円までなら下がっても大丈夫か」を先に決めておくと、内定が出たときに迷いません。

転職を経験して実感したのは、提示年収の数字に目を奪われやすいということです。
見るべきは次の3つです。
・月の手取り
・働く時間
・家族と過ごせる時間
ミドル世代が家計を守りながら給料を上げるための進め方5ステップ
最後に、ここまでの内容を行動の順番に並べます。
大切なのは、収入を止めずに、数字を見ながら進めることです。
ステップ1:自分の実質減収を計算する
まずは計算表を埋めて、実質の伸びがプラスかマイナスかを確かめます。
可能なら、過去2〜3年分を並べてみてください。
マイナスが続いているかどうかが、判断の土台になります。
ステップ2:会社の昇給の仕組みを確認する
就業規則や賃金規程を開き、定期昇給とベースアップの有無を確認します。
次の評価面談では「何をすれば昇給・昇格できるか」を具体的に聞いてください。
答えがあいまいなら、それも大事な判断材料です。
ステップ3:家族と数字を共有する
給料の話は、一人で抱え込みがちです。
でも、教育費やローンの判断は家族全員に関わります。
計算した実質の伸びと、「年収がいくらまで下がっても大丈夫か」の数字を、配偶者と一緒に確認しておきましょう。
ステップ4:在職中に市場価値を確認する
転職するかどうかを決める前に、今の経験が社外でどう評価されるかを知っておきます。
転職エージェントに相談すれば、自分の経歴で応募できる求人と年収の目安がわかります。
経歴を登録して企業からの連絡を待つスカウト型のサービスなら、忙しい時期でも続けられます。

相談や登録をしても、転職を決める必要はありません。
ステップ5:選択肢ごとに期限を決める
最後に、いつまでに何を判断するかを決めます。
一人で進めるより、プロに年収の水準を聞くほうが早い
インディードリクルートパートナーズの集計(2026年4〜6月期)では、リクルートエージェント経由で転職し、前職より賃金が1割以上増えた人は45.6%でした。
2002年の統計開始以来、最も高い割合です。
エージェント利用者の集計で、エージェントを使えば上がることを示すものではありません。
ただし、年代別の数字は公表されていません。
また雇用動向調査のとおり、転職した人の31.0%は賃金が下がっています。
だからこそ、応募する前に「自分の経歴ならいくらが見込めるか」を確かめておく価値があります。
- 求人サイトを一人で見る場合:求人票の年収の幅が広く、自分がどこに入るのかわかりにくい。残業や手当の実態も見えにくい
- 転職エージェントに相談した場合:今の経歴で応募できる求人と年収の目安を、在職したまま聞ける。紹介された求人なら、残業時間や手当などの条件の確認も頼める
昇給が物価の伸びに届かない状態が続けば、実質のマイナスは毎年積み重なります。
計算例の「実質約−2.7%」なら、年収700万円で1年に約18万円分の購買力が目減りする計算です(筆者試算)。
ステップ5で決めた期限までの間は、収入を保ったまま社外の選択肢を比べられる期間でもあります。
相談したからといって、転職を決める必要はありません。
→ まずは求人の幅と年収の目安を知りたい人:リクルートエージェントで今の経歴の年収水準を聞く
→ 管理職や専門職で年収を上げたい人:JACリクルートメントに経歴を伝えて相談する
※求人の紹介や条件の確認、応募書類の添削、年収の交渉などのサポートは、そのエージェント経由で応募する求人が対象です。年収が上がることを約束するものではありません。
給料が上がらない・転職に関するよくある質問
Q. 給料が10年上がらないのは普通ですか?
回答を見る
A. 昇給の仕組みがない会社は一定数あります。
厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」(100人以上の企業)では、定期昇給制度がない企業は17.7%でした。
昇給の仕組みがない会社では、待っていても給料は上がりにくいままです。
まずは賃金規程を確認し、実質の伸びを計算してから次の動きを決めましょう。
Q. 実質賃金が下がっていると、生活にはどう影響しますか?
回答を見る
A. 同じ給料で買える量が減り、貯蓄や家族のための出費に回せるお金が少なくなります。
平均の実質賃金は2025年まで4年連続でマイナスでしたが、2026年は8月まで8か月連続でプラスになっています。
ただし、昇給が物価に追いついていない人は、個人では目減りが続いています。
自分がどちらなのかは、「昇給率 − 物価上昇率」で確かめられます。
Q. 30代後半〜40代の転職で、本当に給料は上がりますか?
回答を見る
A. 上がる人のほうが多いですが、下がる人もいます。
厚生労働省の雇用動向調査では、2025年は増えた人と減った人の差が35〜39歳で+19.6ポイント、45〜49歳で+11.0ポイントでした。
50〜54歳では下がった人のほうが多くなりました(前年の2024年は50〜54歳もプラスでした)。
年齢が上がるほど差が縮む点は共通しています。
一方で、転職者全体の31.0%は賃金が下がっています。
経験を活かせる求人を選び、手取りと働く時間まで比べることが大切です。
Q. 副業と転職、どちらを先にすべきですか?
回答を見る
A. 実質の伸びのマイナスが小さく、今の会社に昇給の仕組みがあるなら、副業で収入を補いながら様子を見る選択もあります。
マイナスが大きく、何年も続いているなら、給料の水準そのものを変えられる転職を優先して検討しましょう。
どちらの場合も、在職中に社外の求人を見ておくと判断しやすくなります。

動くかどうかは、計算してから決めれば十分です。
数字がわかれば、我慢するか動くかを自分で選べます。
まとめ|給料が上がらないなら、まず実質減収を数字で知る
給料が少し上がっても、物価がそれ以上に上がれば生活は楽になりません。
平均の実質賃金は2026年にプラスへ転じましたが、ミドル世代の中でも伸び方には大きな差があります。
すべてを一度にやる必要はありません。
まずは今日、源泉徴収票を2年分出して、計算表の①〜⑤を埋めるところから始めてみてください。
その数字が、我慢を続けるか、動き出すかを決める一番確かな材料になります。
計算表の結果は、どちらに近かったですか?
今の会社の数字に、社外の数字を並べると、我慢するか動くかを比べられます。
実質の伸びの結果に合わせて選んでください。
- マイナスは小さめ。しばらく今の会社で様子を見つつ、社外の給料の目安だけ持っておきたい → ミイダス
(登録して待つだけのスカウト型) - マイナスが2年以上続いている。教育費やローンの事情も伝えたうえで、転職すべきかを相談したい →
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